活動状況

タマホーム株式会社と工事請負契約書についての是正協議を終了しました。

 消費者支援ネットくまもと(以下「ネットくまもと」という。)は,タマホーム株式会社(東京都港区高輪)の工事請負契約書に関する情報提供を受け,当該事業者が使用する工事請負契約書等について,申入れ及びお問い合わせを行いました。ネットくまもとが申入れを行ったすべての条項に対して,是正されたわけではありませんが,一定の改善がみられたことから,是正協議を終了します。 

経過

 ネットくまもとは,平成2998日付申入書兼お問い合わせ書にて当該事業者に対して申入れ及びお問い合わせを行ったところ,当該事業者より,ネットくまもとが申入れをした一部について改定する旨の回答がありました。その後,当該事業者と協議を重ね,当該事業者からは,2018525日付回答書のとおりの提案がありました。そこで,ネットくまもととしては提案のあった改定案を検討し(なお,201881日から同改訂は適用されているとのことであり,約款の写しを受領しました),一定の改善が見られたことから現段階では差止請求訴訟に及ぶことはせず,是正協議を終了することとしました。

 当法人の当該事業者に対する要請及び当該事業者からの回答は次のとおりです。

当該事業者に対する要請(下線部は要請した事項にかかる条項)

当該事業者からの回答(下線部は変更があった部分)

(当法人の申入れ事項1)

本約款第24条第2項後は,民法の適用による場合に比し,消費者の義務を加重する条項であり,信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであることから,消費者契約法10条により,無効です。

よって,「受注者が善良な管理者の注意義務を怠った場合は受注者の負担とし,受注者が善良な管理者の注意義務を果たした場合は発注者の負担とします。」を削除してください。

 

第24条(不可抗力による損害)

1 工事完成引渡までに天変地異その他の自然的条件,災害または第三者の行為など発注者及び注文者のいずれの責めにも帰すことのできない事由(以下「不可抗力」といいます。)によって,本契約の目的物,工事材料,支給材料・貸与品等に損害を生じたときは,受注者は損害発生後すみやかにその状況を発注者に通知しなければなりません。

(第24条1項については申入れの対象としていません。)

2 前項による損害その他の不可抗力に基づく費用について,受注者が善良な管理者の注意義務を怠った場合は受注者の負担とし,受注者が善良な管理者の注意義務を果たした場合は発注者の負担とします

3 (略)

4 (略)

(当該事業者の回答1)

貴法人からの申入れを踏まえ,次の通り,変更いたします。

 

 

 

 

 

 

第24条(不可抗力による損害)

1 工事完成引渡までに天変地異その他の自然的条件,災害または第三者の行為など発注者及び注文者のいずれの責めにも帰すことのできない事由(以下「不可抗力」といいます。)によって,本契約の目的物,工事現場に搬入した工事材料,支給材料・貸与品等に損害を生じたときは,受注者は損害発生後すみやかにその状況を発注者に通知しなければなりません。

 

2 前項による損害その他の不可抗力に基づく費用について,受注者が善良な管理者の注意義務を怠った場合は受注者の負担とし,受注者が善良な管理者の注意義務を果たした場合は発注者の負担とします。

3 (略)

4 (略)

(当法人の申入れ事項2)

本約款第33条1項及び第35条2項は,解除によって貴社に生じる平均的損害を超える部分については,消費者契約法9条1号により,無効です。

よって,第33条1項1号中「②別紙記載の基本設計料および実施設計料」,及び第35条2項中「②別紙記載の基本設計料および実施設計料」を削除してください。 

 

 

第33条(発注者の解除権)

1 発注者は,工事の完成前までは,やむを得ない事由がある場合は,受注者による仕事完成を必要としない理由を付記した書面を遅滞なく通知することにより,本項各号の受注者の損害を賠償した上で,本契約を解除することができます。この場合,発注者および受注者は,別途解約合意書を締結するものとします。

(1)着工前に解除した場合は,①事前調査費,設計業務における申請手続費用その他の実費相当額,②別紙記載の基本設計料ないし実施設計料。 

(2)(略)

(3)着工後,当初予定した工期の2分の1以上が完了した段階で,前号の金額に加えて,請負代金の30%に相当する金額。

(33条1項(3)は申入れの対象にはしていません。)

  

第35条(契約解除後の処理)

1 第33条(発注者の解除権)第2項及び前条第2項(受注者の解除権)に基づいて本契約が解除されたときは,発注者は,受注者に対し,①事前調査費,設計業務における申請手続費用,管理業務にかかる実費相当額,②別紙記載の基本設計料,実施設計料,および工事監理料(ただし,解除の時点で成果図書一式が揃っていない場合または管理業務が完了していない場合は,履行割合に応じるものとします。)ならびに出来形部分に相当する清算金額(受注者所定の出来高および仕入額試算表によるものとします。)を支払って費用を精算した上で,受注者から工事の出来高部分と発注済みの工事材料の引渡を受けるものとします。

2 前項の規定にかかわらず,着工前に本契約を解除する場合は,発注者は,①設計業務における申請手続費用その他の実費相当額,②別紙記載の基本設計料,および実施設計料を負担するものとします。 

 

3 (略)

4 (略)

5 (略)

6 (略)

(当該事業者の回答2)

貴法人からの申入れを踏まえ,次の通り,変更いたします。

 

 

 

 

 

 

第33条(発注者の解除権)

1 発注者は,工事の完成前までは,やむを得ない事由がある場合は,受注者による仕事完成を必要としない理由を付記した書面を遅滞なく通知することにより,本項各号の受注者の損害を賠償した上で,本契約を解除することができます。この場合,発注者および受注者は,別途解約合意書を締結するものとします。

(1)着工前に解除した場合は,①事前調査費,設計業務における申請手続費用その他の実費相当額,②別紙記載の基本設計料ないし実施設計料(ただし,解除の時点で成果図書一式が揃っていない場合は,履行割合に応じるものとします。)

(2)(略)

(3)着工後,当初予定した工期の2分の1以上が完了した段階で,前号の金額に加えて,受注者に生じた損害

 

 第35条(契約解除後の処理)

1 第33条(発注者の解除権)第2項及び前条第2項(受注者の解除権)に基づいて本契約が解除されたときは,発注者は,受注者に対し,①事前調査費,設計業務における申請手続費用,管理業務にかかる実費相当額,②別紙記載の基本設計料,実施設計料,および工事監理料(ただし,解除の時点で成果図書一式が揃っていない場合または管理業務が完了していない場合は,履行割合に応じるものとします。)ならびに出来形部分に相当する清算金額(受注者所定の出来高および仕入額試算表によるものとします。)を支払って費用を精算した上で,受注者から工事の出来高部分と発注済みの工事材料の引渡を受けるものとします。

2 前項の規定にかかわらず,着工前に本契約を解除する場合は,発注者は,①設計業務における申請手続費用その他の実費相当額,②別紙記載の基本設計料,および実施設計料(ただし,解除の時点で成果図書一式が揃っていない場合は,履行割合に応じるものとします。)。 

3 (略)

4 (略)

5 (略)

6 (略)

 

改定されなかった条項については今後の情報を注視し,必要に応じて改めて申入れ等を検討していくこととします。

2018-11-14

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