活動状況

退職代行業を営む株式会社ニコイチのウェブサイトの表示に関する申入れを終了しました。

 消費者支援ネットくまもと(以下「当法人」)は,退職代行業を営んでいる株式会社ニコイチ(静岡県駿東郡長泉町。以下「同社」)に対し,同社の運営しているウェブサイト上の表示について下記のとおり申入れを行いました。しかし同社には何ら対応いただけず,現時点ではこれ以上の進展も見込めないことなどから,いったん同社に対する申入れを終了し,当法人の申入れの内容などについて公表します。

 ただし,当法人としては同社のウェブサイト上の表示についてそれが正当であることを認めたものではありませんので,同社に関して情報をお持ちの消費者の方々におかれましてはぜひ情報を当法人までお寄せください。

(当法人の申入れ)

1 申入れの趣旨

貴社ウェブサイト(https://www.g-j.jp/lp04/)上の下記の表示について

⑴ 「退職成功率100%継続中!」「強み05 退職成功率100%の退職代行業者です。他社で失敗した案件でも退職を成功させた実績が多数あります。」の表示を削除してください。

⑵ 「全て丸投げOK あなたが会社の上司に退職の意思を伝えたり,会社に出向いて退職の手続きをすることなく退職後に必要となる各種書類のお受け取りや,給料・有休消化・会社からの貸与物の返却の件など全て当社でお話ししますので,家でゆっくりと休んでいるだけで大丈夫です。」「円満退社に向けた密な打ち合わせ 実行に必要となるお客様の情報やお勤め先の情報をお聞きさせて頂きお客様が望んでいる最高の結果を出すためのご提案をさせて頂きます。」の表示を削除してください。

2 申入れの理由

⑴ ⑴の表示について

 貴社ウェブサイトの当該部分に関する表示は「退職成功率100%継続中」「退職成功率100%の退職代行業者です。他社で失敗した案件でも退職を成功させた実績が多数あります。」というものであり,他社で退職を失敗した案件であっても貴社ならば退職を成功させることができるかのような印象を与えるものです。

 しかし,民法627条では期間の定めのない雇用契約は解約の申し入れの日から2週間を経過する事によって終了すると規定し,期間の定めがある者についても1年を超える契約の場合,期間の初日から1年経過した日以降であれば,労働者は使用者に申し出ることによりいつでも退職する事ができ,期間の問題は別として使用者が退職を拒否することはできません。したがって,退職の成功率は適切に退職の意思表示がなされている限り100%にしかなり得ないものです。

 にもかかわらず,上記表示を行うことは,他社で退職を失敗することがありうること,他社で退職を失敗した案件であっても貴社ならば確実に退職できるような印象を消費者に与えるものであり,貴社の上記表示は景品表示法にいう「優良誤認表示」に該当します。

 よって上記の表示の削除を求めます。

  ⑵ ⑵の表示について

 貴社ウェブサイトの当該部分に関する表示は「全て丸投げOK」「退職後に必要となる各種書類のお受け取りや,給料・有休消化・会社からの貸与物の返却の件など全て当社でお話ししますので,家でゆっくりと休んでいるだけで大丈夫です。」「円満退社に向けた密な打ち合わせ」「お客様が望んでいる最高の結果を出すためのご提案をさせて頂きます。」というものであり,これは顧客が貴社に対し給料・有給休暇や会社からの貸与物の返還など退職の際に附帯する条件について貴社が責任をもって相手方と交渉し,貴社に交渉などを一任することができるような表示になっています。

 しかしながら,貴社が仮に退職の意思を使者として伝えるにとどまらず,退職の際に附帯する条件についても委任を受けて相手方と交渉しているのであれば,弁護士でない者が報酬目的で行う法律事務の取り扱いを禁じる弁護士法72条に触れるものであり,貴社が弁護士法に反する行為を行っているということに他なりませんし,仮に,弁護士法に触れる可能性を鑑みて交渉は行っていないということならば,実際に行っていない業務を表示していることに他なりません。

 したがって,貴社が上記の交渉の業務を行っているのならば本来違法な業務であるものを当然にできるものであるかのような印象を消費者に与える点で,仮に上記の交渉の業務を行っていないのならば実際に行っていないことを行っているかのような印象を消費者に与える点で,いずれにしても消費者に誤認を与えるものであり貴社の上記表示は景品表示法にいう「優良誤認表示」に該当します。

 なお,貴社のウェブサイトには「弁護士監修」という表示がありますが,「監修」という言葉の意味からすると弁護士(貴社に対するお問い合わせに対して貴社からは全く返事をいただけないので,弁護士が実際に監修をしているかどうか,弁護士の実在自体も含めて検証ができませんが)が貴社の運営に対して助言をするにとどまり,実際に資格を持った弁護士が相手方との交渉を行うことは予定されていないと考えられますので,貴社が報酬を受領した上で交渉業務を行ってよい理由にはならないと考えます。

 よって上記の表示の削除を求めます。

(同社の対応)

 当法人の申入れに対し,同社からは何ら回答はありませんでした。

 

(経緯)

・令和4年7月8日 当法人より「申入書」を送付

・同社からは何ら回答なし

・令和4年9月12日 当法人より「申入れ及び要請終了通知」を送付

以上

2022-11-10

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