消費者支援ネットくまもと（以下「当法人」）は，令和２年７月豪雨の発災の後から主に人吉・球磨地域の施主との間で災害により損傷した家屋の工事の契約を締結していた匠工務一級建築士事務所・匠工務こと山口卓三氏（熊本県人吉市。以下「同氏」）に関し，同社の請け負っている工事についての勧誘方法及び契約の内容の履行に関する相談が複数寄せられているとの情報があったことから，同社に対し以下の内容で申入れ及び要請を行いました。

　同氏からは別紙のとおり回答はあったものの，これ以上の進展も望めないと判断したため，いったん申入れを終了し，その内容を公表します。なお，同氏からは申入れ及びその結果を公表することについて異議を申し述べられましたが，消費者にとって有益な情報であると判断されることから，公表することといたしました。

（当法人の申入れ及び要請）

第１　申入れ

　貴所（同氏のこと。以下同じ）が消費者を勧誘するに際し以下の行為を実施することを直ちに中止するよう求めます。

１　工期内での完成が難しいにも関わらず，それを告げずに勧誘すること

２　次に掲げる行為を行うこと

⑴　営業所等において，被勧誘者が退去したい意思を表明したのにも関わらずこれを妨害すること

⑵　営業所等において長期間にわたり勧誘行為をすること

⑶　被勧誘者が拒絶の意思を表明しているのにもかかわらず電話等で再勧誘を行うこと」

　第２　要請

　貴殿による仕事の完成前に，消費者が貴殿に対して解除の意思表示をした場合は，受領した請負代金から出来高部分を差し引いた金額を消費者に返金してください。

 　（同氏の回答）

　「今回いただいた申入書兼要請書にあります内容につきましては，理解しました。社内にて共有し，外廻りの営業担当にも細かく，明確に指導してまいります。また，工事の工程が契約書に提示した工期より遅れた点につきましては，メーカーの在庫不足により入荷が遅れているため工期が遅れる旨を，口頭でお知らせしていましたが，今後は文書で対応いたします。」

（経緯）

・令和３年１１月１２日　当法人より「申入書兼要請書」を送付

・同氏から同月１５日付回答あり。

・令和４年９月９日申入れ及び要請終了通知を送付

・同氏から同月２９日付で公開には異議があるとの文書を受領

・令和５年２月３日付で異議には応じられないとの文書を発送したが、同氏の受領はなかった。