活動状況

消費者法ニュース第144号に当法人理事長が寄稿しました

~熊本県民の"セーフティネット貸付"の灯りを守るため~

「消費者自立のための生活再生総合支援事業」勉強会 開催報告(令和7年7月) 

 現在熊本県が実施している「消費者自立のための生活再生総合支援事業」は、多重債務問題の掘り起こしによる救済効果やヤミ金融被害防止効果に加え、多重債務相談・家計管理指導・セーフティネット貸付により大きな県民救済効果を上げており、その額は事業開始からの15年間で約93億円以上にもなります。これは、まさしく、平成19年に策定された「多重債務問題改善プログラム」が掲げる"顔の見える融資"であり、これが熊本県において実現化し継続していることは誇るべきことだと思っております。

 ところが、現在、大きな課題が発生しています。県が当該事業に活用している消費者庁交付金の活用期限が令和7年度末なのです。この課題により事業終了となれば、県民の安全安心な生活に打撃が生じると危機感を持ちました。そこで、この事業は、県民生活に必要不可欠な事業であることを再確認し事業の着実な実施を県に対して求める運動につなげたいと考え、令和7年5月24日に、県弁護士会と共催で表記の勉強会を開催しました。

 今回の勉強会には3名の県議会議員が御来賓で御参加いただき、代表して松村熊本県議会議員から力強い御挨拶がありました。

 まず、事業利用者の体験談を3組の方々が発言されました。多重債務の苦しみ、相談につながったことで救われたこと、セーフティネット貸付により、御本人のみならず御家族の生活も再生できたこと。その体験談は会場全体に大きな感動を呼び、当該事業の必要性を参加者全員で改めて認識するとともに、消費者個人のみならず家族の再生や地域の再生に事業効果が発展していることを実感いたしました。

 その後、「弁護士と生活再生支援事業従事者の振り返り」として、熊本県弁護士会消費者問題対策委員会委員長であり、当法人理事である原彰宏弁護士と、事業の受託団体である、  グリーンコープ生活協同組合くまもとのスーパーバイザーである中島明美氏の対談がありました。実は、この事業は、熊本県弁護士会が事業実施に係る請願を行ったことを契機に始まり、以降、毎年請願を行っているのです。原弁護士からは、この事業が、「顔の見える融資を行うセーフティネット貸付」だと認識した理由等について説明し、会場参加者の理解を得ました。

 最後に、現在の危機的状況を打破しこの事業を着実に継続させるために、私から、6月の県議会に行う県弁護士会の請願活動の説明をし、約100名の会場御参加を得たシンポジウムは盛会のうちに終了しました。

2025-08-08

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