活動状況
消費者法ニュース第143号に当法人理事長が寄稿しました
「熊本から消費者行政の明日を考える」シンポジウムの開催報告(令和7年2月)
当法人は、従前から、地方消費者行政に対する国の財政措置の必要性を訴えており、熊本県議会に対して、国に「地方消費者行政に対する財政支援(交付金等)の継続・拡充を求める意見書」を提出いただくよう、請願活動を継続してきました。このように、地方消費者行政と密接な連携を継続してきた当法人だからわかるのですが、地方消費者行政は本当に危機的状況にあります。
平成26年度に定められた制度により、多くの地方公共団体が消費生活相談員の人件費等に活用している地方消費者行政強化交付金の推進事業分が活用期限を迎える課題が発生しています。特に令和7年度末には、全国で500を超える地方公共団体が活用期限を迎え、そのうち約半数の地方公共団体が消費生活相談員の人件費に活用しているとの報道があります。熊本県内でも、令和7年度末に7自治体が消費生活相談員人件費の活用期限を迎えます。今回のシンポジウムは、地方消費者行政が衰退、いや消滅のおそれすらあるという危機感から企画いたしました。
冒頭に、御来賓である地元選出の木原衆議院議員、池田熊本県議会議員から力強い御挨拶をいただきました。
基調報告では、日本消費経済新聞の相川記者から、「地方消費者行政が直面する課題に消費者庁はどう対応するのか」をテーマにお話をいただきました。消費者庁15年の地方消費者行政への政策、中でも交付金措置と、都道府県や市町村の消費者行政専管部署数、消費者行政担当職員数、消費生活相談員数の増減との関連を分析し、早急に地方消費者行政強化交付金推進事業に代わる国の支援策を検討する必要があると訴えられました。基調報告の途中に、会場参加の地元地方公共団体職員から苦境を訴える発言もありました。
オンライン参加の消費者庁地方協力課長にコメントをお願いしたところ御対応いただき、今までの地方消費者行政が充実強化された成果を後戻りさせてはならない、併せて現代社会の課題へ対応できる国からの支援について考えていきたいというコメントをいただきました。
その後、県内の弁護士のコーディネートのもと、相川さん、県内の弁護士、適格消費者団体の理事、消費者団体会長、地方公共団体職員によるパネルディスカッションを行い、熊本県内の現状を確認した上で私たちができることについて協議を行いました。
最後に、私が、現在の危機的状況を打破するために、2月に県議会に行う請願活動の説明をし、同じようなシンポジウムを行うなど全国から声を上げていただくことが大事であると伝えて、会場に100名以上、オンラインで全国各地から50名以上のご参加を得たシンポジウムは盛会のうちに終了しました。